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運動を巧くさせるのにはコツがありまして、教える技術よりも、うまくなる練習の雰囲気、それからうまくなる練習の流れ、私はこれらを重視しています。
体の覚えが良くなるときの空気感というのがあって、そこにもっていけると多くの選手に上達が見られるようになります。
また練習全体における活発さというか、段取りよく進めていける手慣れた様子が見られると、これもまた上達を促進させます。
この二つは似た面もあり、その場の空気を上達しやすいものにすることにより、自然と脳そして肉体がうまくなるほうへ向かっていく法則のようなものを、いつ頃からか確信するようになりました。
もちろん、教え方も技術が必須だと考えます。
まだ若い頃に、ある高校の先生から「腕立て伏せのもっていき方はいつ見ても見事だね」と感心されたり、最近でも見学に来たトレーナーさんから「あの声かけ(言葉)で一気にリバウンドが変わりましたね。そういうのはどこで学んだのですか?」と質問されたり、教え方によってもたしかに上達は促されると思います。
その上であえて申せば、私自身が重視しているもの、きちっと形作りたいと考えているものは、教えるテクニックよりもみんながうまくなれる空気感です。
それをつくるには、ある程度の時間を要します。
繰り返し、色を塗り重ねていかねばなりません。
いまどきは親からクレームが来たり、選手もまるで直そうとしないなど、ナカナカに手強いものがあります。
しかしある程度の期間・日数をもらえれば、薄まる前に再度訓練し、さらに影響が残っているうちに続けて足を運ぶことで上達のゾーンに突入します。
つまり量として、時間や回数は多いほうが浸透していくということです。
行動の慣れは、おこなう質より触れる頻度が強く影響します。
自然とうまくなっていく空気に包まれた状態で言葉のエッセンスを入れるのが最良であり、そのような日は多くありませんが、いつも100点を狙って集中力が高まるようささやかに尽くしています。
コート全体、できれば体育館すべてを上達オーラで満たしたいし、少なからずマイコートは全員がそうであることを求めます。
見学しているケガ人やマネージャーは、それに干渉するリスクがあります。
それだからケガ人の多いチームは弱いし、マネージャーが暇そうにしているチームもやはり強くなりません。
コートの端で暗くうつろな目をしてぼんやり立っている人間が一人でもいると、練習は冷めていきます。
それが二人三人四人といたら・・・
したがって、それらの人たちも同じ空気に包み込む必要があるのです。
伸びるチームは練習の熱気が段違いです。
どんな演出で盛り上げているのか、自分をどのようにして燃えさせているのか、それはすべて頭に働きかけるアクションです。
セーブされている力を、その気にさせて挑ませると体はとてもよく発達します。
そういった部分はSNS動画を見ても、決して知り得ません。
現場が唯一の場所です。