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この1年、初めてのチームを訪問する機会が増えています。
比較的、若い年代のコーチから相談を受けることが多く、すなわちチームも若くなります。
その熱心さや行動力の身軽さは若い人ならでは、と感心します。
先週の日曜日に行われた松戸市のクリニックも、顧問に入って2年目という先生でした。
エネルギーある女性の先生が、同じく体力あふれる高校生男子バスケットマンたちを率いて、日々努力されています。
WEBの問い合わせからメールをもらい、日程を確認したところ、すぐの日しか空いていなかったのですが、先生からは即答でした。
チームの経緯を詳しく話してくださり、前日に練習の動画も送ってもらいました。
若いパワーがこれからの時代には絶対に必要だし、勇気を出して連絡してこられたのだからこちらもしっかり応えねばと考えつつ、内心では「もしかして現代っ子な感じかな〜」とやや不安でした。
ところがその推察は大きく外れ、実際は先生がわずか1年で見事に整えて、すでにチームは安定していました。
生徒さんたちはみな素直で、しっかり目標もあり、話を聞くことも自ら考えることもよくできています。
これは先生のコミュニケーションの賜だと、理解しました。
当日も、クリニック開始のギリギリまで先生と深く話し、具体的な強化策、育成策を練りました。
じつは、ドリルや練習テクニックを紹介することが梅トレ(選手たちの付けた呼称)の中心ではありません。
インスタなどを見て、みんなそれを期待するのかもしれませんが、ドリルを得ても強くはなりません。
どうやったらその選手は伸びるか、なにが原因でそのチームは停滞しているのか、可能性と原因を見つけ有効なアプローチを行うのです。
今回、私から先生に体育館の割当を見直す提案をしました。
普段、放課後の練習において、1コートを女子バスケ部と半分ずつ分け合って使用しています。
私はこれを打ち合わせのメールで読んだとき、「これだと男子はもやもやしているのではないか?」と考えました。
狭いとどうしたって体力はつかないし、とくに男なら体を存分に使えてこそ満足するはず、それなら時間が半分になってもコート1面にしたほうがプラスとなるはず。
そこで「一度、女バスの先生と話されて、交替制にしてはどうですか?」と助言しました。
さらに新入生が普段の倍ほど入部し、2学年で30名ほどになったことが“不便さ”に拍車を掛けています。
ここも「下に合わせることで上が怠けてしまいます。つまらないからです。このケースでは大抵が真ん中つまり平均を取ってしまうので、もしその様子があるならば、明日からは能力の高いグループに練習負荷を合わせるべきです」とアドバイスしました。
こういった現実的なアプローチが行われた上で、トレーニングメニューやドリルがはじめて活かされます。
この日のクリニックを終えてみて、体格の良い選手からバスケ初心者まで数十人といましたが、練習負荷は上げても問題が無さそうであることがわかりました。
先生も「とてもいきいきと楽しそうにやっています」と語っておられました。
もし今回、私が技術的にトレーニングメソッドだけを教えて終えていれば、このチームの持つ根本的な課題や改善点は残ったままだったでしょう。
不便さを抱えたまま、知識と体験だけを手に入れることになります。
それは成果に繋がるでしょうか。
メソッドの伝授だけでは、たとえ繰り返し教えに来ても、結果は難しいでしょう。
目を向けるべき場所はたくさんあるのです。
それを見つけるのも、不肖トレーニングコーチの重要な仕事だと考えます。
先生がこのあと実際に、練習コートの確保を協議されるかどうかはわかりません。
動いてもうまくはいかないかもしれません。
以後のことはそれとして、この初クリニックでは、チーム強化に必要なパーツを見つけることができました。
どうやら夏休みに、次回を計画するようです。
もし連絡をもらったら、精一杯に尽くします。