梅原淳の心*體みなぎるエッセイ/Playground Heroes

運動の専門家が子どもたちの成長をスポーツ*子育て*教育など、あらゆる視点から応援します

勝者たるゆえんに僕らは憧れる

 昨日、東京の高校にてトレーニングがありました。お昼休みに監督さんと様々話をさせていただきました。その中でとくに面白かった話題を一つ紹介しましょう。

 昨年末にウィンターカップで優勝した某チームが、大会前に練習のため体育館を借りに来られたそうです。いつも貸しているそうですが、我がチームの選手にしてみれば大変に貴重なチャンスです。日本のトップチームを見て、多くのものを感じられるのですから。

 どんな練習をするのか、どんなパフォーマンスなのか、子供たちはきっと興味津々だったと思います。そりゃあワクワクするでしょう。でも監督さんが体育館に入られるなり、早々からお説教が始まったそうなんです。

 話の内容は申し上げられませんが、ただ、バスケットボールのことではなく、チームのことでもなく、学校での授業についての話でした。説教が長くなるにつれ、東京の子供たちはガクッと下を向いてしまったようです。がっかりしたのか、それとも自分自身が怒られているような気持ちになっちゃったのか。まあ、怖いですからねあの大監督。

 僕は正直、今回このチームが勝って良かったと思っています。個人的な感情です。このエピソードを聞くと、さらにホッとします。やっぱりここが勝って、日本の指導者は少し救われたなと、なんだかそんな気持ちになるんです。

 日本一になるチームですから、選手は当然超一級品です。全国各地から優れた選手を集めてきているでしょう。でもそれ以上に、このチームは鍛え上げることをしている。ちゃんと日々研磨し修行しているのが、ゲームを観ているとはっきり伝わってきます。手強い、の一言。あの足腰の強さにはうなります。

 コート外での雰囲気もしかりです。17,18歳にもなって、小学生が外に出て高揚しちゃっているように落ち着きのない、公でのマナーも教えられていない強豪校は少なくありません。すべては統率するコーチ、そして親の失態です。

 そして本丸の試合においても、裏で画策して優秀な選手を獲得し、外国人まで入れて、なのに見応えあるプレイを見せてくれないチーム。僕たちは期待していますね、あの選手あのチーム、どんな試合をしてくれるのか。魅了されたいのです。やっぱり全国出るチームは凄いなと、そう感じるものだと信じていますよね?観る側は。

 男子でも女子でも一緒です。今回のウィンターカップ2017でも、能力に秀でた選手がたくさんいました。いや全国大会に出ているのだから、一般的なレベルから見たら全ての選手がそうです。皆スター選手だ。

 さらにそのスターたちが、1〜3年生までごそっと集まっているチームもあります。何人も優れた人材がいて、本当に羨ましくなります。なのにまるで魅了されない。迫力も感じなければ圧倒されるものもない、ついでに華やかさも。僕たちは上位者のたくましさに納得し、目標を見出したいのに。

 日々の修養で積み上げてきたもの、磨き上げてきたものをゲームで発揮するんですよね。それを以て勝とうとしているのではないのですか。真っ直ぐに素直な目で見れば「こんなに良い選手がたくさんいるのに、どうしてもっと鍛えてこないんだ、絶対勝てるのに」と、多くの人が感じのではないでしょうか。

 僕個人としては、いかに勝ち上がってくるチームでもスター選手であっても、そうである裏打ちの見えないものにはまったく関心を覚えません。どうして夏に全国優勝したチームが、主力の外国人がいないだけで、ベスト8で負けますか。

 金の力、大人の企みで選手を獲得し(選手や親の立場なら引っ張ってもらい)、それだけである程度は勝ってしまえる。ただし集めただけでその先の鍛練がまるで足らない。それが県の代表とか強豪としてコートに立って、脚光を浴びています。雑誌に特集されたりもしています。子供たちにそれを説明できますか?

 どんなスター選手がいるとか、どんな外国人がいるとか、何回戦まで勝ち上がった、注目されている旬である、そんなことはどうだってよくて、僕たちはそのチーム・選手の作り上げてきた作品を見たいと思っています。そのようなチームを多くサポートできていることは、大変に幸せです。志が同じ人と一緒に頑張れる、これほど名誉なことはありません。

 やってもないのに上に立つ、それが成立しては断固ならないのです。だから今回、明成高校が優勝したことは、ちょっと嬉しく感じています。体育館を貸した東京の高校バスケマンたちも、きっと喜んでいることでしょう。