ある日の練習、できるものをできないと偽って、鍛練を休む選手が数名いました。
10代の選手が3,4名、捻挫など脚の痛みを理由に練習を見学。しかしそれがなんと嘘だったのです。
誰かということは、決して教えられません。
もちろん何処のチームとか何の競技であるかなども、個の特定に繋がることはいずれも言えません。
ただ、その場に居合わせていた私が見たままの様子や、感じたことは教えることができますので、一例として皆さんにお伝えしたいと思います。
その日は私がトレーニング講習をおこなっていました。
数日前に脚を痛めたという選手が数名いて、練習ができないのでコートの外で雑用をしていました。
一日目の練習が終わった夜、治療院から監督に電話がありました。
おそらく整骨院だと思われますが、選手がケガをするといつもそこへ送り、施術をしてもらっているそうです。
チーム全体でお世話になっている治療院です。
その治療院の先生から、脚の具合は練習を休むほどのものではない、と通告を受けたのでした。
翌日、監督の怒りが爆発しました。
できるのにしない、治療院からもゴーサインが出ているのに、それを無いものとしているのです。
にょきっとツノが生えて当然です。
朝のトレーニング開始から、しばらくの間説教されていたでしょうか。
4名のうち2名が突如、コートで練習していた選手に交じってスクワットなどをし始めました。
私のところに「練習入ってもいいか?」と来たので、「どうぞ」と。
拒否する理由などありません。
彼らは、そこからすべて皆と同じようにトレーニングしていきました。
何も滞りなく。
5往復ダッシュとかシャトルランなどのときにも、まったく不都合を感じさせない動きで、平然とやってのけます。
キックターンの切り返しもばっちり。
私も思わずズッコケました。まるでケガを感じさせません。
つまり痛みもほとんど無いということでしょう。
顔を歪ませるような様子も、まるで見られませんでした。
治療院の先生が仰っていたとおり、いやそれ以上に、安静にする理由など何もないのでした。
体も大きくなった若者が、練習を休むために “できない” 理由を作る、いや練習を “しなくて済む” 理由を作るとは、なんとも情けない話ですが、現実に起きた出来事です。
結託してなんて、まさかそんなこと有るわけないですが、2名が同様にケガを理由にして練習から外れていました。
2人とも入った矢先から完ぺきなパフォーマンス....
とても笑えませんね。
しかもそのような選手が、今後ゲームではコートに立つ者だったりするわけです。
皆さんの周囲では、このようなことが勿論無いだろうと信じたいですが、正直稀なことでも無いような気もします。
今回の場合は、気遣いある治療院の先生が症状を報告してくれたので、残念ですがサボりも見つけることができました。
このようにチームと連携していく病院・治療院・保護者会など、双方向の連絡は重要です。
ですがほとんどは、外から目を掛けていただける事はありません。
大抵は来た患者に、診断結果を簡単に教えて終わりです。
余分に気を回してくれることはありません。
そんな中でわずかでも連携していける環境を作れたらと、私も不肖ながら感じました。
ケガにまつわるこの見えざる人間の陰は、皆さまのいる場所でも生まれているかもしれません。
無論、これがまかり通っているような環境は、決して良い方向へは進みません。
少しずつ一歩ずつ、チームのテコ入れが進んでいきます。