梅原淳の心*體みなぎるエッセイ/Playground Heroes

運動の専門家が子どもたちの成長をスポーツ*子育て*教育など、あらゆる視点から応援します

矛盾ではありません

ある高校の先生との話。

レーニングをしている子供たちを見ていて、出来そうだと思っていた子が全然ダメだったりする。それは、バスケットボールのプレイでは活躍する選手だったりするので、身体のことも得意だと思ってしまうから。

高校1年生を見ていて、中学のとき県のジュニアオールスター選手で、すでに高校でもスタメンだったりするのに、今日トレーニングを見ていると体の機能は低く、出来ないことだらけ。このギャップに驚いてしまったと、話していました。

それと共に湧く疑問として、バスケはできるのに、身体の操作は出来ないとはどういうことなのか。または反対に、あんなに身体感覚が鈍いのにどうしてバスケは活躍出来るのか。これらは同一ではないのか、矛盾していないか。たしかに当然の疑問でしょう。

はっきり申し上げて、たとえコート上で良い成績を出せるとしても、身体技能は未熟である子供は多いです。能力が低いのになぜ活躍できるのか、これは身体の成長速度に差があるからです。つまり体格の違いです。小学生の高学年辺りから中3くらいまでが顕著です。

実際は身体操作は下手だけれども、背が高い分その優位性で誰も渡り合えない。人より早熟で既に筋肉が付き身体が大きいので、つまり一人だけ大人なので、何をしても勝てる。そういう事が多分にあります。

小学生中学生あたりでは、たまたま平均より体格が勝っているからプレイでも勝てることがよくあります。だから本当は運動ベタだけど、プレイでは勝てるのです。

県の選抜選手であるから、その競技の優秀者のはずなんですが、基本的な運動要素を試すと平均より低いこともあります。

例えば190cmある選手がコートでリバウンドも獲れるしゴール下のシュートもよく入ります。ディフェンスでも相手の邪魔になり優位に立てます。たとえ技術力や身体能力が未熟でも、プレイでの結果を出すことは可能です。

では彼がもし170cmのプレイヤーだったら……

こう見たときに、その人の等身大のレベルが見えてきます。いま活躍している選手であっても、機能的な伸び代を新しく見つけられます。つまり優位性がなかったら活躍できるプレイヤーか、という視点で見てみるのです。

さらに高校くらいになると、成長の遅い人も背が伸びてきて男性ホルモンも出てきます。皆同じように体格が大きくなるので、早熟だった人の優位性は無くなります。

そうなるといよいよ運動能力が勝負を分けますので、小さい頃はあんなに活躍していたのに、なんていう選手が出てくるのです。ですから、幼い頃から活躍していることにあぐらをかいていると、あとから能力の低さにがく然として挫折する人も少なくありません。

この成長速度の一時的な優位性を見つける力が、指導者には必要です。たとえ目立つし魅力的に見えるプレイヤーでも、ここから先は伸びる選手だろうか、どうやったらもっと上達させられるかと考えて、日々の練習のメニューを作っていくべきだと思います。

中学生あたりでいわゆる「出来上がっている選手」がいて、高校からあまり伸びなかったという話は珍しくないでしょう。競技実績から離れて本質の運動レベルを見る目を持ち、真っ直ぐに選手を分析できれば、早熟である選手をさらに高校でも伸ばしてあげられるはずです。