梅原淳の心*體みなぎるエッセイ/Playground Heroes

運動の専門家が子どもたちの成長をスポーツ*子育て*教育など、あらゆる視点から応援します

体育館空いてるよ

 部員数が多いクラブや、体育館が小さく普段の練習時間が少ない環境である場合、常に悶々と身体を動かし足りない飢えを持っていると思います。もちろん競技力の向上において不利な条件でもあります。

 5月という時期は、新入生が入部してきますが、まだまだ彼らはチームの中心には入れてもらえず邪魔扱いされて、外を延々走らされたりステージでトレーニングだけさせられたり、モップやオフィシャルなど練習の補助ばかりさせられます。一緒に練習などさせてもらえません。だからつまらないというか欲求不満が溜まります。

 これは新入生でなくとも、主力として入れてもらえない部員だって同じです。試合には練習ゲームであっても出してもらえず、普段の練習でも主力が中心で、残り物が戦力外選手たちという構造です。

 だから自分を鍛えるチャンスというのはすごく限られていて、でもそういう選手たちのために、コーチは配慮して環境を作ってくれたり、じつはしています。そこに食いつくか、見逃さないよう目を見開いているか。たまのチャンスにもぼさっとして気づかず動かず、目の前をサーッと大切な恵みが通り過ぎていないでしょうか。

 もしくは、チームの主力選手たちであっても、ひとつの大会が終わる度にぱーっとお花が咲いて気持ちが緩み、すぐ一休みしてしまう事って、ないでしょうか。そんな悠長にあなたが度々休んでいる間に、ライバルは今日も朝早く体育館に来て、シュートのスキルアップに励んでいます。昨日の激戦で身体はボロボロ。でも目的のある者、課題を作った者は、今日も休まず自らを磨いています。

 こんなことがありました。前日が公式戦で今日は祝日、体育館割り当てで15時から練習という日がありました。学校の体育館は、大概、小さめのバスケットボールコートが2面取れる間取りになっています。半分に分けて各クラブが交代で使用しています。14時過ぎになぜか片面が空きました。バドミントン部が両面を使っていたのですが、まだバスケ部が入る時間でもないのに、片側を片付けてスペースを空けてくれました。

 ラッキーです。使えます。シュートでもドリブルでもなんでも、昨日のゲームで気になったところを調整したり、先に申し上げた日頃運動量に飢えている者は、めったにない自己修練の機会です。体育館が好きに使える、空いているのです。1年生なんか大チャンスですね。

 でも結局、15時まで誰もその恵みを活かすことはありませんでした。

 主力選手であってもそれ以外の選手でも、ひとつの大会ひとつの激戦を終えて、しかもそれがある程度良い結果だったこともあり、いつものように気持ちが一段落してしまっているのではないか。どんなに疲れていても、公式戦が終わった直後でも、次へ向けてこの時間にシュートだけでも打ち込みに来た者との差は、歴然である。そうしろという指示ではなく、正義やお手本の話でもなく、現実として彼らの心の根っこに問い掛けてみました。

 自分たちはもう昨日の本番に結果を示したのだし、今日も15時から3時間練習するのだから、それ以上は要らないだろう。そう心の根っこで思っている者がいて、かたや同じく大会直後で疲れてボロボロだけれど、体育館が空いているのを見つけてチャンスとばかりに自己修練をする者がいたら........。

 上手くなる者強くなる者とは、そういう人間ではないだろうかと、私見をありのままはっきりと伝えてみました。これは、自ら主体的に目的や課題を持つこととも、深く繋がっている話だと思います。

 実際、この差で勝負はもう着いています。絶対値の量とか数の問題ではありません。飽くなき探究心の有無です。足を止めたら後退するのみ。我々が休んでいる間に、誰かが今日もトップを獲るためにシュートを打っています。その心と行動が、あなたの細胞にグッと深く入っていくような気がします。