梅原淳の心*體みなぎるエッセイ/Playground Heroes

運動の専門家が子どもたちの成長をスポーツ*子育て*教育など、あらゆる視点から応援します

小学生のスポーツで一番にくる課題は何かを考えましょう

 先日、群馬県にある学校のバスケ部のAコーチと色々議論しました。彼はこの4月より教諭として採用されることとなり、またそこは彼の母校であり、もっと以前彼が生徒だった頃まで遡れば、梅原トレーニングを受けていた教え子でもあります。

 そんなO先生はこれから中等部のほうをサポートすることになったそうです。ここは私立の中高一貫のため、男子バスケットボール部は中学と高校の二つのチームがあり、それを一人の顧問が、たくさんの校務をおこなう傍らコーチングしていました。

 若いエネルギーであるO先生の加入は、きっとチームに大きな力をもたらしてくれるはずです。

 彼はトレーニングの事もよく理解しており、それをどのように練習へ取り入れて行くかを相談されました。まだ技術が未熟であり、もちろんバスケ素人もいるこの中学生たちにとって、今が正しい運動を覚える最も肝心な年齢です。この日の選手たちのぎこちなさをO先生が見て、まさにそれを実感したようです。

 中学で基礎となる運動動作をしっかりと身につけて高校へ上がれば、その子たちは間違いなく大きく伸びます。正しい體の使い方、基礎的な運動技能を備えておけば、高校生になってからチャレンジできる事がぐんと増えます。

 でもこれは本当はもっと下のカテゴリーで身につく、身につけるはずのものじゃないでしょうか。本来、體が一段と成長期に入ってホルモンも分泌されて体毛が生えるこの世代で身につけるものではありません。

 動きの巧みさ、しなやかさ、バランス能力、こういった調整力は、小学生で少しずつ発達するべきものです。基礎というのを大事にして練習しているかどうかに懸かっています。日本のバスケットボール競技では基礎を大事にしているでしょうか。

 よく考えてみましょう。野球でもサッカーでも柔道でも、ものすごく簡単な練習をきちんとやっていませんか?

 野球は必ずキャッチボールをします。素振りをします。サッカーも二人向かい合わせでインサイドキックのパス練習をしたりリフティングをします。柔道でも受け身を必ず練習します。これはカテゴリーが下でも上でも基礎練習として必ず取り組まれ、またチームが違えど皆同様にやっています。全国的一般的な「定番」ということになります。

 バスケットボールは定番があるでしょうか。バスケットボールの選手はなぜ全国津々浦々、隅から隅まで、シュートフォームが大まかでもまとまっていないのか。ジャンプ動作が多い競技なのに、その動きが作られていないのはなぜか。パスの出し方もてんでばらばら。

 これは初期のバスケットボールが、つまりミニバスが、基礎鍛練ではなく、ゲームから入っているからだとO先生に話しました。ゲーム性を楽しむとか追求するところを中心に初歩のバスケットボールが行われている。これはあくまで持論です。いきなり最終段階の「勝負」のところがテーマになっているのです。

 下手なままゲームをする。うまくシュートも打てないし、守れないし、構えられないし、ピボットも踏めないし、でもとにかくゲームをどう展開するかを一番の主要課題にしている。最終段階のゲーム作りを初期段階のミニバスでやっていたりします。それなら基礎など、どうでもよくなりませんか。そんなことするより、どう点を取るかを考えよう、とそういう感じになりませんか?

 スラムダンク桜木花道がコートの脇で、延々ドリブルをダムダムと........ありましたね。あのような基本の型をしっかりと鍛練するというようなスタンスが、日本のバスケットボールには足らないような気がします。何かにつけゲーム(勝負)ばかりです。

 これが、小学生の段階でしっかりとシュートフォーム、ドリブルフォーム、パスフォームなど、動きや構えを大切にしながら基礎技術を丁寧に反復することがあれば、日本のバスケットボールはもっと底辺の力が底上げされ全体がレベルアップするのではないでしょうか。

 結果の出し方がスポーツをおこなう目的の真っ先に来るのを、そろそろやめませんか?

 皆さんご自身の頭と心でしっかり考えていただきたい問題です。