梅原淳の心*體みなぎるエッセイ/Playground Heroes

運動の専門家が子どもたちの成長をスポーツ*子育て*教育など、あらゆる視点から応援します

緩みどころを知る

 大会のあとはだいたい気が抜けます。それが目標の順位やそれ以上だったり、まして優勝したりすればなおのこと。達成感というのが、残酷にも成長の歯止めになってしまう危険性を考えてみたいと思います。

 達成感が悪いことではないと思います。自然に沸く気持ちですし、止めようもありません。でも到達した感覚があると、次へ向かう行動がなくなります。これは皆さん経験があると思います。

 ここを理解できているのとそうでないのとでどれくらい違うか。それはもう未来が大きく変わりますね。事実多くの選手・チームが、一度の成功で終わってしまうことがしばしばあるわけです。「昔取った杵柄」という言葉がありますが、まさに過去の栄光に囚われ続けてしまうケースをよく見てきました。

 地区大会を勝ち上がり県大会のシードも取った、しかしその県大会では良いところ無しだったということ、よくありませんか?

 県大会で優勝した、達成感に満たされしばらく余韻に浸りながら締まりのない練習をした、次の大会では案の定負けてしまった。あり得ますよね?

 とくに目標達成の直後は、安堵感や優越感や達成感といった様子が顕著に現れます。それは下手をするとずるずると尾を引き、しばらく経ったあとにおいてまで響くこともあります。頑張ってはいるけれど、どうも何かが違う。ハングリーさがない、必死さがない、謙虚さがない、勢いがない。そんな経験ないでしょうか?

 優勝の美酒に酔いしれたのはもう何ヶ月も前のことで、今は新たな目標設定もして次の大会へ向かってやっているはずなのに、優勝直後の達成感がいまだに残ってしまっている。チーム低迷の原因のひとつが、この達成感の余波にあります。

 しばらくはいいや、と思っている間に、次の大会は数ヶ月後だから、と油断している間に、達成感はがん細胞のごとくどんどんあなたの心を食い荒らして、気づいた頃には時すでに遅し。いくらモチベーションを上げようと画策しても、修正がきかなくなっていることが大半です。

 そうならないためにも、目を光らせるべきは、結果が出た直後。ここに何かアクションを入れることが、さらなる躍進への起爆剤となります。賢明なチームならば、大会の翌日にチームミーティングや、選手とコーチの個別の話し合いを入れたりするでしょう。または大会翌日を休みにして、その次の日からの練習において、意図的にハードなメニューを作ったりする場合もあるでしょう。あえてコーチが強くハッパを掛けることもあるかもしれません。とにかく次へ向けてさらなる鍛錬を積むんだという意思を、すぐ行動に起こすのです。

 クリアした目標はその瞬間から終わったこととし、未来に目を向けます。間違いなく満足感で気が抜けることを予見して、落とし穴にはまらないように手立てを打った人だけが、さらにステージを上げられるのです。

 また次のようなことも言えます。目指すものがあったとしても、それが本当に自分にとっての最終地点なのかを考えるのです。どこが最後でどこが途中経過なのか。目の前の目標に焦点を当てることは当然ですが、もっと全体で見ればその位置づけも変わるはずです。

 いかなる大きな存在でもひとつの目標や大会だけに固執せず、その先を常に視野に入れて行動すること。慢心や油断といった悪い虫を寄せつけず、いつも心を冷静にし、向上心を持ち続けられるようになります。こういった姿勢は「好奇心」とか「自分への期待感」という話とも繋がります。

 ひとつの成功を次の段階に繋げるためには、翌日のアクションです。大会直後に行う練習がカギを握ることになるでしょう。難しいことはありません。昔から教え伝えられてきた先達の言葉を、しっかりと貫いていくことです。

 勝って兜の緒を締めよ