梅原淳の心*體みなぎるエッセイ/Playground Heroes

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明成高校の身体能力をみる

 全国優勝するチームであるから、もちろん類い希なる身体能力を備えているのだが、それをセンスで終わらせず、しかし安易に知ったかぶりして運動生理学で語ろうともせずに、何か学べること盗めることを見つけるために、あえて一般的なレベルと照らして観察してみたい。

 普段コーチやトレーナーなどが、もちろん選手本人も、現場で悩み苦しんでもがいているところを、日本のトップの高校生に照準を合わせて見てみると何が浮かんでくるだろうか。それは本当に基礎の基礎の、もうど真ん中の運動技能だった。

 平成27年12月25日、明成高校宮城県代表)のゲームを観た客観的事実だ。DFのスタンスが狭い者など一人もいない。頭がつんのめってドリブルしている者など一人もいない。走り方の不格好な者など一人もいない。コンタクトでふらつく者など一人もいない。プレイ中すべての動きがスムーズであり軽快だ。

 DFでオンボールの足元に入るジャンプ・ストップの豪快さ、見事。動きの止まらない絶対休まないタフな体力と脚の力強さ、見事。いつ如何なるときも体幹が固定されてバランスが整っている。これは体幹部の筋力がどうとかの問題ではない。腹筋背筋を鍛えて強くしたら身につくような話ではなく、センターの柱を崩さない体感覚のインプットだ。

 とにかく脚がよく動き、背骨は常に床と垂直になっている(つまり上体が真っ直ぐに起きている)。もちろん背中の筋力も大きく役立っているが、これは脚のたくましさに秘密がある。体幹が動く必要がないほどに、走る脚、跳ぶ脚、サイドステップ、止まる脚が本当によく動くし力強い。そういえばDFの動きはほとんどサイド・ステップだ。

 シュート・チェックの腕もとてもよく挙がっていてDFにおいて有効となっていた。ちなみにストップ・モーション(動きを止めるときの足)はすべて ダダン!と一歩でジャンプ・ストップしていた。スタッター・ステップで減速している者はいなかった。常に5人全員が絶え間なく動き回って空間を占めているさまは、昔の能代工業高に似ている感じがする。大げさではなくファンダメンタルの最高度を極めていると言えるだろう。

 コーチというのはバスケットボールを指導するとき、プレイの成否で良し悪しを判断してしまいがちだが、このゲームを観て、たくましい基礎体力が高いパフォーマンスの真の土台となっていることを確認できた。最後に際立つのはやはりファンダメンタルだということが、ここに証明されていると言える。そこを見ることのできる目は重要だと感じる。

 明成高は普通のチームが1/3から半分しか頑張れない事を、平然と40分やり切ってしまう。トップチームというのはもっと難解で高度な要素を持っていると思っていたので、ここに基礎の基礎を見るとは思いもよらなかった。

 これはただ単に能力が段違いの次元の違う人間の話ではなくて、すべてのスポーツ選手に共通する根幹のところを彼らは表現してくれている。その他の全国上位チームをしても見受けられなかったものを、彼らは持っていた。スカパーでまだ再放送しているだろうか。もしチャンスがあるのなら、今年の明成高のゲームをじっくり研究してみることをお勧めしたい。