梅原淳の心*體みなぎるエッセイ/Playground Heroes

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格下を選ぶ者に向上はない

練習やトレーニングを行う際、よく数人のチーム(グループ)に分けることがあります。そうする理由は、補助が必要であったり、見て勉強する環境をつくるため、内容を指摘し合うため、など。この「組」というものには人間の本質がよく表れるから、なんともおもしろいものです。

とりわけ「二人組」の場合に、人間の心中が映し出されます。普段、手を抜き鍛錬を怠っている者は、ペアを作るとき、自分よりもスキルの低い者とくっつこうとします。そしてなぜかよくアドバイスをするんです。

チーム内で少し能力が高く、人間関係でも中心グループにいるような選手に、その傾向が強いです。怠慢な者ほどさらにできない者とペアを組んで、しかもやたらと相手の不出来について指摘するのです。

それは、人にアドバイスを言ってやって世話妬いていれば、自分の出来なさ加減をごまかせるからです。得意な練習や好きな練習のときには、スキルの高い者や仲の良い者とつるんでいるのに、嫌いな練習になると格下に相手を変えて、一丁前にあれこれと口を出すのです。

いかにも自分は出来る側の人間で、ダメ出しされない存在であるような雰囲気を作り出そうとしています。スキルの低い者に教えてあげているんだというような空気を漂わせて、アドバイスしてばかりで自分はほとんど練習しません。やったとしても、パートナーが格下選手なので、不出来でも手を抜いても何も言われる心配はないという保険つきです。

こんなこと、コーチから見れば雲隠れしようとしているのがバレバレですけれどもね。

そんな状況があったならば、もちろん見過ごすわけにはいきません。人に偉そうに言っている前に自分のことをやれと、すぐペアを替えさせます。そうしないとその選手たちは、どちらも伸びないからです。

しかもそういう者に限って、やたらと面倒見が良かったりします。なので相方の格下選手も至れり尽くせりになってしまい、注意や指摘をしてもらえること自体が嬉しくなってしまって、結果全く成長しないのです。

サボり魔・かくれ魔ほど、不釣り合いな能力の低い者と組んだり、下級生と組んだりしています。もしあなたがコーチならば、今一度よく練習の様子を観察してみるといいでしょう。レギュラー選手・中心選手が、驚くような格下選手と対になっていること、ありませんか?

心の卑しい者は今の地位に甘んじるし、そんな行為に気づけなかったり、また見て見ぬ振りするコーチならば、サボり魔の居心地はさらに良くなるばかりです。自らの成長を妨げる行為をしている選手は少なくありません。それを外から刺激するのも、必要なことではないでしょうか。