梅原淳の心*體みなぎるエッセイ/Playground Heroes

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足袋と指靴下

知り合いのママさんから足袋について聞かれたので、ちょっとこちらでまとめてみます。

私は人間の動作を作るものとして今、指というものに注目しています。とくに足の親指について、自分自身もそして携わる子供たちについても、足の指を使えなくなっている状況を目の当たりにしています。なので、指とくに親指をしっかりと使えるようにするために、指の分かれた靴下や足袋を使ってみようと思って実践しているわけです。草履を履くのも同様の理由です。

五本指の靴下を履いている人は多いようで、私がfbに足袋の写真を載せたりしているものですから、足袋はどうなの?指の靴下は?と色々と質問されます。それで、指の分かれた靴下と足袋の比較になるわけですけど、まず靴下と足袋は全く性質・用途が違います。

靴下は伸縮性があり足にフィットしています。ですから言ってみれば裸足であるのと同じです。私は草履などの鼻緒を摘むために二本指の靴下いわゆるタビックスを履くことがありますが、基本的に二本指だろうと五本指だろうと、とにかく靴下は足に沿って着けているものであり、床を捉える感覚で言えば裸足であるのとあまり変わりません。

それに対し、足袋はいわゆるぺらぺらな「靴」です。作りが簡易で弱々しい靴と考えて下さい。足袋には足底があります。また布きれなので、足が足袋の中で動くというかズレます。ですから足にはフィットしていません。足首もホールドされません。引っ掛け金具4つほどで布と布を留めるだけです。足袋は服を着ているのと同様、足に余計な物を着けている(履いている)という感覚です。

靴下は「足」に近く、非常に機能性の低い「シューズ」なのが足袋です。私はそこに注目しています。この履き心地の悪いほぼ素足のような低機能シューズのおかげで、使っていると足の感覚が鋭く強くなっていくという実感を持っています。(シューズの機能・性能に頼れなくなるので)

この足の感覚というのはつまり、指で床をつかむ能力のことです。私はこの力を知るために足袋や草履を使い始めました。足袋を履いて体育館で運動した場合、靴下の感覚とは全く違います。

足袋はいわゆる靴ですから、足袋を履くならもちろん足袋のまま運動する方がいいです。また指のある靴下を履くのなら、これは先ほども言ったように裸足と同じですから、だったら靴下など履かず裸足でいいのです。これらを使うのは指の力を育てるためです。そしてその弊害は靴下ではなく、おそらくシューズの方にあります。なので指の能力という話だけで言えば、靴下がどんなものかはあまり関係ないのかもしれません。もし五本指ソックスを履いても、その上に運動シューズを履いてしまうのならあまり意味はないでしょう。とくに現代の高機能シューズでは。

ということで、指靴下か足袋かということは比較対象にはならないと考えます。靴下はあくまで靴下です。足袋は靴下と同じものではなく、靴と同じです。靴の性能としてはどこまでも便の悪い出来の悪いシューズです。

いずれにしても、足袋や靴下というものが私たちに他力をくれるものではありません。その道具に何か便利な機能があるわけではありません。まずそういった考え自体が、人間の運動機能を低下させたり不健康が増えたりしている元凶なのだと理解する必要があるでしょう。

靴下は、五本でも二本でも、だからどうだってことは無いのかもしれません。ただフィット感の低い靴下よりはピタッとフィットしたもの、またより薄いものであるならば、少しは素足感覚に近くなるかもしれませんね。

一番は高機能になりすぎた現代シューズに大きな問題があります。ですから五本指を履いて高機能シューズを使うことは、正直何の訓練にもならないと思います。

ここで話しているところの足袋や指靴下を履く理由は、できるだけ素足で動き、身体の感覚を磨こうとすることに意図があるので、そもそも運動シューズを履いたり、靴下自体に効果を期待することは、その目的から外れているのです。

さていま、足の親指を使えない人が実際に出てきています。これにより身体のバランス感覚や踏ん張る力といった身体能力に、大きな欠落が出ていると実感しています。これは他の運動動作にも大きく影響します。先日も四国のある高校バスケットボール部で、足の親指が曲げられない子が実際に二人ほどいました。単純に考えても、病気でもないのに指が曲がらないということはおかしなことです。その原因として現代のシューズに違和感をおぼえて、いまは少し裸足でトレーニングをさせたりしています。

少し話が逸れましたが、靴下と足袋について、現段階での感想をざっとお話ししました。