梅原淳の心*體みなぎるエッセイ/Playground Heroes

運動の専門家が子どもたちの成長をスポーツ*子育て*教育など、あらゆる視点から応援します

親に進路を決めてもらう高校生

ある高校の先生から聞いた話。

来年度の新入生つまり中学3年生への学校説明会(学校紹介)を開いたところ、1,000人を超える子供そして保護者が来場したそうです。人気がある、そして受験が全県一区になる。それがこの数になったとのこと。

私なりにずっと子供たちの様子を見て来て、その上でこの話を聞き、率直に感じ取ったことは、今は子供の進学について親がものすごく手をかけてあげているということです。だから人気というよりは、親が躍起になって進学先の情報を調べているという感じです。子供に合った進学先をと思い、次から次にと学校へ足を運んでいる人もいるでしょう。つまり根回し的なことが昔よりすごく積極的なのです。

ある先生が高校1年生に「どうしてこの学校を選んだんだ?」と聞いたそうです。すると「親がそこへ行けって言った」「親にそう言われたから」と答える生徒がけっこう多かったんだそう。その先生は当然ながらそうじゃないだろうと、「お前自身はどこへ行きたかったんだ?」とさらに聞きました。

「いや、どこでも良かった」

それが子供たちの答えだそうです。

さてここから何が見えてくるでしょうか。おそらく誰しもが考える一番大きな問題は、自分のこれからという進路・人生について、もはや目指すものも夢憧れも、何も意欲を持っていないのではないかということです。

親が親自身の不安を解消するために、子供の事をすべて段取りし手続きしてくれます。子供としては自分のことを全部やってくれるのですからそりゃ楽でしょうね。どの道をどう進めばよいかまで決めてくれる。子供より親の方が説明会に熱心なのですから。

少し前までの時代は、年頃にもなれば、自分のことについて親に干渉されるのを強く嫌うようになるものでしたが、今は「反抗期」が無いので自己主張もありません。なので親に進路を決められるといった事にも、反発的な感情は一切ないのです。

この「説明会に1,000人」の話を聞いて、高校進学についてすごく熱心、自分の人生についてきちんと計画的に考えている、ように一見しますが、側面にはそういった背景も多分にあるのではないでしょうか。

本当はいつまでも自分の意志が芽生えない子供と、子供の生き方・進む道を決めてあげようとしている親。この両者の数なのではないか、そんなふうに思います。

親離れをし子供扱いされることを嫌がるようになる、一丁前の大人になりたい、そう見られたいと思うようになる「反抗期」。これのないことが、どれくらい今の時代には大変なことか。私なりにそんなことを考えさせられた話でした。