梅原淳の心*體みなぎるエッセイ/Playground Heroes

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土俵に上がって四股を踏め

私たちは、どんな理想を持てばいいのかは知っている。成功者たちの持っている志や思考はどんなモノなのかも分かっている。でも実際にどうしたらいま目の前にいる者にそれが伝わるか、もしくは本人がそのような志と行動になるのか、変えてあげる方法が見つけられなくてもがいているんだ。

学校の先生、スポーツチームのコーチ、会社の上司、伝統芸能等の師匠。何かを教え、育てる役割を担っている立場の人で、本当に尊敬できる人は、目の前にいる者が成長することに責任を負っている人だ。真の指導者は育てる苦しみ、伸ばす変える難しさと自ら闘っている。

理想を言うのは簡単だ。一流選手がどのくらい素晴らしい志を持っているかを話すのもいい。でも重要なことは目の前の人をどうやったら本当にそうさせられるのかだ。理想やエピソードの話で人は動かない。それで動く人間は、すでに自立し高い志を持っている者だ。それは育てた変えたとは言わない。そんな人間は一部であり、ほとんどは言っても言ってもなかなか変わらない者たちではないのか。私たちの目の前にいる多くは、そういう者たちだろう。指導者の本当の責任は、彼らをどうにか何とかすることだ。

動かない者をどうやって動かすのか。現場にいる人は毎日汗を流し闘っている。苦しい思いまでして高いものを掴もうなんて考えていない、そんな無気力。チャラチャラへらへら過ごしてるいい加減な奴らと、我が身をすり減らして向き合っている。

夢を掴むためにはこういう努力が必要だ、そんなことみんな分かってる。イチローはこう考えていた、カズや本田はこう言っている、そんなことみんな思ってる。でもそうできない、変えてあげられなくて悩んでいるんだ。影響させられなくて苦しんでいる。その本筋に汗を掻いていない者は本当の指導者とは言えない。何を偉そうに講釈垂れたって、目の前にいる動かない奴のために汗を流していないのだから。

尊敬できるのは、口だけ達者なコーチ論者じゃない。そんな動かない選手たちを変えようと現場で向き合って努力している人だ。彼らを成長させる人が、真の現場の人間と言えるだろう。社会はそういう人たちで支えられている。私はそんな真の指導者に教えを請い、その話に全力で耳を傾けていきたい。