梅原淳の心*體みなぎるエッセイ/Playground Heroes

運動の専門家が子どもたちの成長をスポーツ*子育て*教育など、あらゆる視点から応援します

こんなにも脳は運動を固定してしまうのか

 脳はスポーツパフォーマンスのほとんどを握っている話を、ある高校女子バスケ部でしました。

 まさにそれが顕れた練習でした。

 切り口はいくつもありますが、夜中0時を回って眠気がMAXなので単刀直入に書きます。

 上達できるのにしない人、本当はうまくできるのに今ひとつな人、そういう選手はたくさんいます。

 長年この仕事をしているおかげで、そんな子はすぐに分かるので、そのくすぶっている状態を変えてあげます。

 が。

 ひとつひとつそれをやっていたらキリがないですし、場当たり的な「対処」「措置」になってしまいます。

 その場だけ対応しても、全体の改善にはならず、先々への成長も起こりません。

 だから本質的には、選手たちの行動を抜本的に改めてもらう必要があります。

 

 行動は、脳がすべてを決めています。

 レベル5のプレイをしている選手が、6を身につけようとしていればそれは叶います。

 身につかないのは、自分でも気づいていないところで現状維持のプログラムが働いているからです。

 指導者はこれを見抜けなくてはいけません。

 やってもやっても上達しない、それは「この選手の限界か」になってはダメで、ただ良くなろうとしていないだけです。

 本当は成功させようとすれば、今すぐにでも上達をつくることができる、てことがよくあります。

 ある日も、力任せにしかできないガクガクな逆立ち歩きが、突然上手くしかも簡単に進めるようになりました。

 青ざめた泣きそうな顔で苦しそうにトレーニングをしている最後尾の選手が、ペースを上げてゴールできました。

 なぜできたかというと、これらは大抵「思い込み」だからです。

 

 自分では精一杯のつもり、これは難しい技術、トレーニングがきつい、苦しい、泣きそう・・・

 そのように感じていますが、実際は自分でそのように演じているだけです。

 もちろん本人が意図的に演じているのではありません、知らないところで脳がそうさせているのです。

 人は気が満ちていると身体がよく動き、辛いトレーニングでも難しい練習でも上手くできてしまいます。

 反対に気が乗っていない場合には、何故だか足が重くなり、息が切れ、力が入りません。

 同じ運動の内容でも、調子が良かったりひどく悪かったり、それは体調ではなく脳の思い込みが原因です。

 

 その影響が大きいチーム、選手たちがいて、色んな外的な要素に気持ちが振れまくっています。

 要するにとても不安定です。

「あヾ...やっぱり脳が運動の出来をこんなにも左右しているのか」

 僕は痛いほど思い知らされます。

 脳にパフォーマンス能力が抑え込まれているので、なにをしたって動きが重く、テキトーにトレーニングをこなしてしまいます。

 もうサラッと、冷めた感じでなんとなぁ〜くやっています。

 それが僕にすら、疲れがピークになっているのか?もしかしてなにか問題でも起きたのか?とちょっと心配な様子に見えました。

 練習を中断し、よくよく話を聴いてそうじゃないと解りましたが、的外れに誤った判断をしてしまう可能性が充分にあります。

 こんな不安定な様子では、到底チームづくりなど成立するはずがありません。

 

 成長に自らブレーキを掛ける脳の固定、その無意識的な思い込みは家庭や学校など、日常において習慣化されていきます。

 普段って大事なんだな、と改めて深く考えさせられます。

 幸い、そのような脳の固定を崩してあげることはできるのですが、他人にそうしてもらったのでは力にはなりませんから、自分で突き破れるようあくまでジャブ、きっかけづくりにとどめようと思っています。

 だから雑な、大ざっぱな表現が、じつは適度だったりします。

 

 技術、体力がなかなか伸びずに悩む選手、チームが上向きにならず悩むコーチ、たくさんいると思います。

 自分たちはこれが限度かと答えを出す前に、もう一度、錯覚や思い込みが邪魔をしていないか、目を凝らして探ってみてください。

 本当の力が眠ったまま、終わらないように。