夏です、暑いです、昨今の気候は世界的に気温が上昇して、ここ日本でも猛暑が続いています。
猛暑(日)とは気温35度以上を言います。
その付近のときにはスポーツ活動はするな、危険だと呼び掛けられています。
あまりに暑い最中に作業をすることは人体へのリスクが大きく、当然のこととしてそのリスクは下げるのが賢明です。
ただし現在のスポーツ活動における対策は、ただ冷房を効かせて涼しくしろというだけで、家庭でエアコンを使っているのとなんら違いはありません。
夏だから冷やせ、それでいいのでしょうか。
エアコンを導入することが解決とされ、その有効な活用方法は考えず、さらにこの先に起こるリスクを想定しなかった末に、いまスポーツ現場は熱中症を誘発するかのごとく危険度MAXな状況にあります。
僕は学校にエアコンが導入されはじめた当初から、その懸念を指摘してきました。
この夏休み、朝夕もすでに気温が30℃を超えています。
いつ練習しても暑いのであり、選手たちはウォーミングアップの段階から表情が苦しそうで、動きも力のない重苦しさがこちらに伝わります。
これは暑さのせいではありません。
どこまでも体を冷やし続ける日常が、選手らを苦しめているのです。
要するに冷房効かせすぎだよね、冷えた物飲み過ぎだよね、冷たいシャワーや風呂入りすぎだよね、てことです。
それら自体は一時の処方としては有効なんです。
でもそれが暮らしの普段になってしまったら、体は変調します。
一日のほとんどを冷え切った部屋で過ごして、口に入れる物も冷たい物で、スポーツするときだけ地獄のような環境で平然と運動できる人なんているでしょうか。
なんでも「過ぎる」ことはよくありません。
極端な暑さを和らげることが本来の目的なのに、冬かのように冷たくなることをしています。
現代は暑さを拒絶することなど簡単ですが、それは自分をあとから苦しめることになります。
体が冷たくなって良いことはひとつもありません。
以前にバスケットボール強豪校の監督さんとエアコン設置について議論をしたことがあって(議論と言ってもSNS上のコメントですが)、そのような立場の方でも「暑いからエアコンが必要」と、ただそれだけが解決策といった印象でした。
エアコンを多用するようになることで、スポーツへの悪影響は必ず起こると申し上げても、そこに反応はありませんでした。
学校の様子を生徒らに聞くと、真夏に長袖やカーディガンを着ている生徒もいるそうです。
教室の冷房を効かせ過ぎているせいです。おもに女子生徒さんのようです。
冷えて体を壊しますよね。その責任はどこにあるのでしょうか。
暑いからエアコンつけて快適にしろ、と言った人たちは、冷えて体調を崩す生徒や教員への償いをするんでしょうか。
話を戻すと、実態をありのままに申し上げて、いま部活動では冷房の効かせすぎで選手らは気温に耐性が無くなっています。
暑すぎるためじゃなく、練習時間が長いのでもなく、水分補給が足らないのでもなく、ただただ寒暖の差に体がついていきません。
急激な変化は体に悪いことを、みんな知っているはずです。
冷房の効かせすぎ、そういう生活の常態化によって自らを苦しめているのです。
生命が生き残るすべは唯一つ、「適応」です。
暑いなら、そこに耐えうる体力が必要です。
それを真っ向から拒絶して、暑くない快適な環境をつくることは賢明な方法ではありません。
繰り返しますが、夏は暑いんです、私たちはその夏を受け入れて暮らしています。
体調を落とさないよう気を付けつつ、暑い季節は暑い中で過ごし、寒い季節は寒い中で過ごす。
そうすれば、練習開始早々から膝に手を着いてくたびれている人など無くなります。
暑さ対策によって益々暑さに弱い人、暑さで倒れる人が増えました。
ハッキリ申し上げて、大失敗です。
このままいけばさらに増えて、痛ましい事故も起こり得ます。
暑さ自体よりも、それに弱くなってしまったことがより大きな問題の根っこです。
冷蔵庫のように冷やさなくても、延々と冷房にあたっていなくとも、危険なラインを越えないように努めることで目的は達することができます。
厳しい環境を「緩和する」ことが前提であり、必要以上にやたらめったら冷やさないようにするのが賢い生活術です。
部屋のエアコン設定を20℃から28℃に上げてみましょう。
実際はそのくらいで充分ですよ。
あえて窓を開けながら冷房を入れるのも、良い方法です。
とにかく暑さを避けようとしないこと。
暑い中で過ごすことを受け入れ、一時的に涼を取ることを考えるようにしてください。
この夏も有意義なトレーニングができるよう、応援しています。