梅原淳の心*體みなぎるエッセイ/Playground Heroes

運動の専門家が子どもたちの成長をスポーツ*子育て*教育など、あらゆる視点から応援します

このシューズ安かったんですよ!と言う選手は、たぶん上達しません。これは日本教育の誤りであり、日本人的価値観の誤りです。

 最近のバスケットボールシューズの相場なんて、もうしばらく買っていないし気に掛けてもいない僕には、一切情報がありません。

 自分が子どもの頃は、15,000〜20,000円のものを買っていたように思います。

 でもその記憶さえ定かではなく、また品物はピンからキリまでありますから、相場というのはただ購入者の「価値観が重なるところ」ということです。

 実際には5,000円程度のものもあれば、30,000円くらいのもあるんでしょう。

 それは僕の頃も、現在もさほど変わらないはずです。

 

 仮に相場が10,000〜20,000円だとして、一部に5,000円や30,000円のシューズもあるとすれば、あなたはどの価格のものを買うでしょうか。

 たとえば5,000円単位くらいで刻んでいくなら、いつも買うのは幾らのバッシュですか?

 先日、選手に「そのシューズ格好いいね!高かった?」と聞いたら、声高らかに「安かったです!」と答えてくれました。

 なかなか良い買い物をしたでしょ?と言いたげに、少し誇らしげな顔になっていました。

 僕はややその返答と表情に驚きつつ、用意していた言葉を返します。 

 

「安物じゃ上手くならないよ?」

 

 生徒は「ぇええ〜〜!?!?」という感じのリアクション。

 どや顔から今度は一転、困惑顔です。

 べつに困らせたかったわけじゃありません、事実を言ったまでです。

 もしシューズが自分のプレイ・スキルを支えてくれる、また後押ししてくれるアイテムだと考えているのなら、良いものを絶対に買うべきです。

 安い物は、それなりのスペックでしかありません。

 たかがシューズでも、足を保護し、運動にエッセンスを加えるものですから、品質の低い物では良いパフォーマンスを発揮できません。

 場合によっては、ケガを招き入れることにもなります。

 自分を高めるために質の低い物を使うというのは、賢い判断とは言えないのです。 

 シューズに限らず道具を手に入れるときは、質の高いもの、値段の高いものを買うのが正解です。

 

 僕の言っている安物は、質素な物ではなく質の粗悪な物のことです。

 生地の質、縫製の質、構造の質など、その道具が役割をしっかりとまっとうしてくれることをあなたは期待していますよね。

 すぐに壊れたり、自分の体型にフィットしなくて身体が痛くなったり、そんなことが起きてほしいと思っている人なんていません。

 でも安物を買うってことは、そのリスクを自分から上げているわけです。

 悪いものを身に纏うくらいなら、裸足のほうが良い動きを得られます。

 プラスを生むためにシューズを履くのですから、高い性能を有したものを選びましょう。

 性能にコストが掛かっているものは、とうぜん売り値も上がります。

 良いものは価格が高いです。

 

 世の中には「質」に高値が付いているものと、ブランドなど「付加価値」に高値が付いているものがあります。

 僕の言っているのは質のほう、その製品の果たす仕事つまり性能がハイスペックであることです。

 バスケットボール・シューズであれば、自分がそれを使って何をするのか、どんな役割を果たしてほしいのか、そこにおいて納得のいく品質のシューズを求める姿勢は、そのままあなたのバスケットボールを求める姿勢です。

 物や知識を買うときには、良い結果を出そうという意思が金額に反映します。

 学問でも同じです。学んで力を得るためにはお金が掛かる。

 それが自分への投資です。

 

 別の学校の部活動でも、生徒と同じ会話をしました。

 やはり「意外と安かったんですよ〜!!」と、嬉しそうに言っていました。

 これは僕たちに染み込んだ価値観だと思います。

 安物買いが良い正しいという感覚が疑いもなくあり、日本社会にもはや定まっている証拠だと思います。

 ほんの一部の人だけが、良いものを得るために正しい対価を払っています。道具だけの話ではありません、日常にあるすべてのことがそのルールによって成り立っています。

 浪費や無駄をつくるか、生産的で有意義な時間を過ごすか、自分にとって価値ある物を手に入れたいならば、自ら望んで金額の高いものを選びましょう。

 買い物の大原則でした。